
100×35
100×35は手ぬぐいです。
機能性と合理性を兼ね備えた素晴らしい日本の伝統的アイテムです。
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必要最低限の幅に織られた生地を横方向にカットしただけで道具となる手ぬぐいは、
江戸時代より庶民に愛され、生活必需品としてさまざまな用途に使用されてきました。
例えば、手や体を拭いたり、キッチンで布巾として使ったり、ファッションアイテムとして頭や首に巻いたり。
ボロボロになったら雑巾として使用し、最後はかまどにくべて燃料の足しにまでしたそうです。
かつての日本では、使用による風合いの変化を劣化とは捉えず、その状態に合った使い方を見つけることで、最後まで無駄なく使い切るのが当然のことでした。
吸水性に優れ、粗く織られた生地は乾きやすく、端が切りっ放しであることで雑菌が繁殖しにくいという利点もあります。
現代には機能的なものが溢れ、使い道がひとつに限定されたものが少なくありません。
そのような状況によって、私たちは商品名から「もの」の機能をはかるようになり、それ以上の使い道を考えなくなってしまいました。
名称が、そのものが持つ機能に制約を与えてしまうことがあるのです。
「手ぬぐい」もそう。
百年以上も昔から受け継がれてきた呼び名ですが、それによって「暮らしの中で自由に使える布」ということに気づいてもらえず、
「手を拭くだけのもの」としての存在になってしまうのならば、手ぬぐいと呼ぶことをやめてみようと私たちは考えました。
まったく手ぬぐいを知らない海外の人や子供たちのように、まっさらな気持ちで先入観なく手ぬぐいに向き合ってもらいたい。
この布のサイズである「100×35」を商品名としたのは、手ぬぐいを「自由に使える布」としてとらえてほしいという思いが込められています。
そして、この「100×35」は、大阪・堺市の伝統産業のひとつである浪華本染め(注染)で色鮮やかに染め上げています。
古くから浴衣や手ぬぐいを染める技法として親しまれてきた注染は、明治時代に生まれた型染めの一種です。
型紙の上から防染糊を置き、柄の部分にじょうろで染料を注いで染めることから、「注ぎ染め」などとも呼ばれています。
20枚ほどの手ぬぐいが一度に染め上がるという、当時としては大量生産の技術ですが、
ほぼ全ての工程を人の手で行うため、繊維が潰れにくく、通気性に優れ、肌ざわりのやわらかい仕上がりとなります。
プリントとは異なり、布地を染料が貫通するので、表裏なく両面が同じように染め上がるのが最大の特徴です。
また、高橋理子の生み出すソリッドなグラフィックに適度なゆらぎを加えながらも、
その力強さを失わずくっきりと染め上げることができ、HIROCOLEDGEにとってなくてはならない技法です。
注染ならではの風合いと共に、手ぬぐいの高い利便性を日々の暮らしの中でお楽しみいただければ幸いです。